私が美容業界に関わるようになったのは、この一宮という土地からはじまります。かつて繊維業で栄えたこの地で、羊毛の行く先を考えるうちに、一つの着想を得ました。羊毛由来のケラチンを、頭髪のトリートメント粧剤に活かせないか。そこから、高分子ケラチンの開発と、髪のダメージ補修への取り組みがはじまりました。
以来、サロンの現場と並走しながら研究を続けてきました。感覚で語られてきた現場の技術を、科学の言葉で裏付けること。そして、現場で本当に使えるものをつくること。その繰り返しの中で生まれたのが、エイジング毛に向き合う技術「リケラ」です。
リケラの開発は、製品のために原料のケラチンから自分たちでつくるところから始めました。料理に例えるなら、一皿のために種から野菜を育てるようなことです。それほどの時間をかけたのは、本質からでなければ、本当の答えは出ないと信じていたからです。
製品を通じて現場と向き合い続ける中で、ずっと気になっていたことがありました。どれだけ良い素材や技術を届けても、それを使う人が孤立していれば、本当の意味では届かない。現場で生まれた知恵や感覚が、次へ渡りにくくなっているということ。
働き方の変化の中で、美容師が個人で完結しやすくなりました。自由が増えた一方で、技術や知識を体系的に学ぶ場は減り、現場の知恵が次の世代へ伝わりにくくなっています。
ashitakaは、その問いに対する、私たちなりの実践の場です。ひとりのお客様に丁寧に向き合うことを大切にしながら、学びや技術が閉じてしまわない場をつくる。製品を届けるだけでなく、美容師の知恵そのものを次へ渡していく。それが、いまこの場所をつくる理由です。
リトル・サイエンティストがこの場所をつくるのは、研究や製品づくりを、現場から切り離さないためでもあります。実際のお客様に向き合う中で見えてくることを、また次の技術や提案へ返していく。その循環ごと、大切にしたいと考えています。
